2015年2月6日、モンゴル国の著名な活動家チョローンドルジ・ムンフバヤル氏を含む8人のモンゴル国市民がモンゴル国の首都オラーンバートル(ウランバートル)において中国大使館前での抗議行動によりモンゴル警察に逮捕された。抗議者らは、拘束されている南(内)モンゴルの牧民の即時釈放と南モンゴル牧民の土地に対する権利と伝統的なライフスタイルを守ることを要求した。
8人の抗議者はオラーンバートルの地元警察署に連行され、3時間拘束された。その中には別の活動家のサルナイ女史も含まれていた。同女史は南モンゴルの人権擁護活動家で、6時間拘束されている。動画には、逮捕時にのぼりと南モンゴル旗を警官が没収している様子が見られる。
モンゴル緑の党事務局長で著名なジャーナリスト、人権活動家のチョローンドルジ・ムンフバヤル氏は、南モンゴルの人権と自由を守る活動に積極的に関わっている。同氏はまた、南モンゴルのドゥルウド・ホショー(四子王旗)とスニド・バローン・ホショー(苏尼特右旗)の牧民が中国当局による牧草地の不法占拠に対する抗議行動に関する議論や監視に熱心に関わっている。ムンフバヤル氏はSNSを通じて、現場の南モンゴル人牧民に直接連絡し、モンゴル市民に対して南モンゴル人の抗議行動と苦しい状況の公表に強い支持を表明している。
「警察は、オラーンバートルの大使館付近で抗議行動を実施することは違法であると主張しています」とムンフバヤル氏は南モンゴル人権情報センター(SMHRIC)に語った。「これはここ中国大使館の前だけで有効なようです」とも言及している。
「サルナイ女史は6時間拘束され、それゆえ
『違法な抗議行動』および『パトカーのドアの破壊』を実行したと裁判所に呼び出されました」とムンフバヤル氏はSMHRICに語った。「実はドアは全く壊されていませんでした。私たちが警察に連行された時、私はそのドアの隣に座りこんでいたのです」。
独立国であるモンゴル国政府は、西欧諸国からアジアのモデル的民主主義国家であるとしばしば賞賛されてきたが、南モンゴルの人権侵害について公的な立場をいまだ表明していない。それでも、同国市民は同胞である南モンゴルのモンゴル人の人権状況が悪化していることにますます心を痛めている。
南モンゴル牧民が北京の中央政府前で抗議行動を行った1月中旬以来、多くのモンゴル国市民が南モンゴル牧民との連帯を表明した。
「ドゥルウド牧民の土地と権利を返せ」「Je
Suis Sud Mongole(私は南モンゴル人だ)」「Je
Suis Tumur(私はトゥムルだ)」というスローガンは、南モンゴル牧民の継続的な抗議行動を支持してSNSを通じてモンゴル国市民の間に広がっている。トゥムルというのは、自らの牧草地を中国当局によって不法占拠されたことに抗議して南モンゴル地元政府のゲート前で首つり自殺した南モンゴルの牧民トゥムルのことを言っている。
中国において南モンゴルの人権条件が悪化するにしたがい、モンゴル国における南モンゴル亡命者の権利がますます侵害されるようになっている。
2009年、モンゴル国当局は南モンゴル亡命者バトザンガー氏を中国へ強制送還した。2011年、同氏は「公金流用」の罪で3年の禁固刑の判決を受けた。現在も南モンゴル東部オラーンハダ(赤峰市)の刑務所に収監されている。
2014年、モンゴル国当局はモンゴル国滞在のための有効なビザを所持していた2人の南モンゴル人ダライバートル氏とトルゴール氏を強制送還した。
最近のビデオ・インタビューにおいて、ムンフバヤル氏は20年以上モンゴル国に居住している別の南モンゴル亡命者であるウネンバヤル氏が逮捕され、中国へ強制送還のおそれがあると訴えている。ウネンバヤル氏は同インタビューの中で、強制送還で脅されモンゴル国に大金を支払うよう強要されていると答えている。
昨年4月東京で開催された会議の席で「独立国であるモンゴル国は、南モンゴルの人権が最も侵害される非常に希有な国の一つになっています」と、ムンフバヤル氏は語った。
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チョローンドルジ・ムンフバヤル氏が「モンゴル国同胞はドゥルウドの法的権利のための闘いを支持している」と主張している(SMHRIC) |
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モンゴル警察がオラーンバートルの中国大使館前で抗議行動を行ったかどでモンゴル国市民8人を逮捕した(SMHRIC) |
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モンゴル警察が中国大使館前で逮捕を実行している(SMHRIC) |