中国当局が南(内)モンゴルで牧地を奪って経済開発を進めるにしたがい、地方のモンゴル人牧民コミュニティによる抗議行動が広がっている。先週最低5か所で、牧民たちが牧地権を要求して抗議行動を起こした。少なくとも17人が警察によって逮捕され、多数が暴行を受けた。
今年5月初め以降、南モンゴル東部のトンリョー・ホト(通遼市)ナイマン・ホショー(奈曼旗)、ミングレン・ソム(明仁蘇木)、トゥレー・ガチャーの牧民が政府に後押しされた興隆沼森林社による土地収奪に抗議した。牧民は2011年以降、森林会社によって約4000ヘクタール土地を失っている。
5月9日、そのコミュニティの代表5人が中央政府に苦情を訴えるため北京を訪問して逮捕された。代表らはナイマン・ホショーに退去させられ、即刻拘束された。5月12日、さらにトゥレー・ガチャーの牧民3人が逮捕され、土地収奪に抗議したために拘束された。ほぼ一か月が過ぎたが、8人はいまだ未公表の場所に拘束されたままである。家族も面会を許されていない。当局は家族に対して「代表らは公共の秩序を乱した」ため拘束されているとだけ説明している。
5月28日、南モンゴル東部バーリン・バローン・ホショー(巴林右旗)グイルステイ・ガチャー、ゲゲーン・エンゲル村の40戸を代表する約100人の牧民が牧地を通る国道303号の建設工事を妨害した。牧民らは工事の中止と牧地に対する補償を要求したのだ。
40人以上の警官が現場に到着し弾圧した。電気警棒や催涙スプレーが使われた。この時、牧民3人が逮捕されて連行された。大勢が暴行されたが、ある女性は大量出血して病院で治療を受けた。別の4人の女性も負傷した。警察は弾圧現場の画像や動画を撮影した牧民の携帯を没収した。
5月半ば以降、南モンゴル東部アルホルチン・ホショー(阿爸鲁科尔沁旗)、バヤンオンドゥル・ソム(巴彦温都尔蘇木)の200人以上の牧民らが、地方政府によって没収された牧地のため抗議の座り込みを行った。5月31日、5人が座り込みを組織したかどで逮捕され拘束された。自分の牧地に戻って「保護区」で家畜の放牧を行った牧民らを強制的に排除しようとしたため、緊張が高まっている。
地元の牧民は「地方政府が1997年に合計約94000ヘクタールの広大な牧地を取り上げたのです。その土地は『保護区』にされ、牧民と家畜は強制的に移動させられました。2000年、抗議する牧民らが自らの土地に戻り、伝統的なライフスタイルを続ける権利を再度要求しました。地元当局は大勢の機動隊と警備員を動員し、牧民を弾圧しました。家畜は銃殺され、牧民は暴行されたり罰金を科されたりしました」と南モンゴル人権情報センター(SMHRIC)に情報を提供した。
先週、南モンゴル西部オラド・ドンド・ホショー(烏拉特中旗)の100人近い牧民が旗庁所在地ハリオト(海流図鎮)に向かってデモを行い、鉱山開発による牧地の収奪に抗議した。SMHRICが牧民から入手した動画には警官が現場に急行し牧民を逮捕している様子が写っている。牧民リーダーの小龍は警察に連行され、いまだに拘束されたままである。
「今私たちは羊の毛刈りで繁忙期です。一段落したら、大規模な抗議行動を計画していますよ」と、匿名の牧民はSMHRICの電話インタビューに答えた。
6月3日、ジャロード・ホショー(扎鲁特旗)ウルジームルン・ソム(烏力吉木仁蘇木)の牧民らが自分たちの土地で放牧しているとホショー森林局員と「禁牧隊」に襲われた。SMHRICが牧民から入手した画像と動画には10人以上のパトカーが現場に到着して抗議行動を弾圧する様子が写っている。コミュニティからの情報では、ボヤンという牧民が自分の家畜が没収されるのを阻止しようとして、森林局員から暴行を受けて意識不明になったという。警察は家畜没収の理由を説明していない。現在ボヤンはホショーの病院で集中治療を受けている。
(原文)http://www.smhric.org/news_572.htm