2015年12月17日、南(内)モンゴル西部アラシャー・アイマグ(阿拉善盟)エジネ・ホショー(額済納旗)の牧民約100人が馬やラクダに乗って、ホショーの旗庁所在地ダラインフブ(達来呼布)でデモ行進した。デモ参加者は、自分たちの法的権利の保護と隣接する甘粛省の漢人が過去数十年間行っている不法侵入と破壊行為を処罰するよう地元政府に要求した。
現地時間午後3:00頃、伝統衣装をまとった牧民たちはエジネ・ホショー政府庁舎前に到着、政府に甘粛省の漢人が最近コミュニティを襲った事件について説明を求めた。
中国の国営メディアによると、2015年12月6日午前3時頃、覆面をした100人以上の不審者がエジネ・ホショーの検問所を襲撃、検問所職員13人を暴行し、あらゆる設備・機材を破壊した。
12月10日、甘粛省金塔の地元警察が10人の被疑者を逮捕・拘束したと発表した。一方、地元の牧民は、エジネ・ホショー政府は牧民らの牧地や所有物を漢人の不法侵入者(ほとんどが農民)から保護できていないと訴えている。
「私たちの牧地は漢人によって長年占拠され荒らされ続けています」と、デモに参加した牧民トゥムルが南モンゴル人権情報センター(SMHRIC)の電話インタビューに答えた。
「漢人は地元の薬草や地下資源を収奪し、オアシスを開いて利益を得て、私たちの草原を破壊し、ライフスタイルまでも脅かしているのです」と、トゥムルは付け加えた。
デモ参加者は、もし自分たちの要求が聞き入れられないなら、北京までデモ行進して中央政府に訴えると、ホショー政府にアピールした。
去る5月、エジネの牧民は抗議行動を行い、土地の不法な収奪とエジネ・ホショーのオアシスの破壊を止めるため、中国政府に対して軍事基地の拡張と甘粛省からの移民の停止を要求した。
蘭州第十四空軍基地へ向かってデモ行進している牧民らを武装警官が取り囲んで銃を向け、牧民が行進を続けた場合には発砲すると警告した。
SMHRICが事前に牧民から受け取った訴状によると、地元政府は「モンゴル人の意思に反して、甘粛省の漢人移民に牧地を不法に取得することを勝手に許可した」という。
訴状は、この地域のモンゴル牧民が1958年に中国の安全保障政策によって中国最初のミサイル試験基地の建設に譲歩して払った大きな犠牲についても言及している。
中国は南モンゴルにおいて牧地と地下資源の開発を進めるため、アラシャーのかつての美しい緑あふれる地域を鉱業開発の標的にしてきた。貴重な地下水脈は枯渇させられ、脆弱なエコシステムが破壊されてきた。拡大する中国の鉱工業と侵入を繰り返す漢人移民がこの地域のラクダ飼いのユニークな文化の存在そのものを脅かしている。
エジネの牧民が抗議(2015年12月17日)