2011年7月18日、南モンゴルのバイリン右旗シャルムレン・ソムにおいて、モンゴル人の牧民らによる新たな抗議が勃発した。スイという中国人大富豪が農地を開墾するために牧草地を強奪することを許した地方政府に対して、1000人以上のモンゴル人の牧民が抗議を行った。伝えられるところによると、スイは200人以上の中国人を雇い、大きな乗用車やブルドーザーを使って何十頭もの家畜を殺させ、自分の土地を守ろうとして抵抗したモンゴル人の牧民たちを暴行した。
その土地の牧民であるバータルさんは、7月18日の朝、自分の羊を放牧しに出かけようとしたところで、この中国人らに酷く殴打された。彼の妻であるイントールさんによると、頭蓋骨が割れて脳に深刻な損傷を受けたバータルさんは、隣旗であるホルチン後旗の天山鎮の病院に運び込まれたという。急患として治療を受けてから4日が経った今も、バータルさんは重態である。他にも数十名の人がバイリン右旗病院に運び込まれたが、彼らの容態は未だに不明である。
シャルムレン・ソムとバイリン右旗の政府高官らは抗議を収めるための緊急会議を開いた。この抗議を鎮圧するために、300人近い機動隊と政府の役人らがソム政府庁舎と旗政府庁舎に急派された。
「シャルムレン・ソムの牧民20名以上がこちらに入院しました。彼らは7月18日の中国人との衝突の中で傷害されました。」と、バイリン右旗病院の職員は南モンゴル人権情報センターに語った。
匿名を条件に南モンゴル人権情報センターとの電話に応じてくれたシャルムレン・ソムの或るモンゴル人は、「私は現場にいました。怒った牧民たちが、スイに雇われて放牧中の家畜を殺した中国人の暴漢らに対して、強く抗議していました。これは誰かに自分の土地を占領され、家畜を殺され、自分たちも殴られた場合に起こる、人間としての自然な反応です。」と話すとともに、牧民たちへの強い支持を表明した。
強まる政府のインターネット監視に直面して、情報の広範囲への拡散が妨げられることを懸念しているモンゴル人ブロガーらは、モンゴル人同胞に向けて自分たちの権利を守るために中国人に抵抗して立ち上がれと呼びかけている。多くのブロガーが、中国政府に対して、モンゴル人の権利を蹂躙している中国人らの処罰を要求するために、大規模な抗議を行おうと呼びかけている。
「メルゲンさんの死が火を点けた5月の大規模抗議の後で、また、モンゴル人の牧民らが自分の土地を守るために命の危険に晒されているという深刻な事件が起きている。我々は困窮させられている。我々は中国人に土地を奪われ、我々の天然資源を略奪され、我々の家畜は殺され、我々の多くが自分の土地の上でホームレスになってしまった。我々は何の尊厳もなく扱われている。我々は中国の軍隊に大人しく殺されるのではなく、自分たちの人権を守るために立ち上がらなければならない。」と、インターネット上では、モンゴル人が団結して抗議をしようと訴える声が上がっている。
「バイリン右旗では8万人以上のモンゴル人が暮らし、その大部分が牧民です。」と話すのは、バイリン右旗出身の著名な反体制派の作家で、モンゴル国に亡命し、最近アメリカ合衆国にやってきたトゥメンウルジー・ボヤンマンドさんである。彼は南モンゴル人権情報センターによるインタビューの中で、「私は、バイリンのモンゴル人の仲間たち、他の旗の人々、南モンゴル全域にいるモンゴルの兄弟姉妹に対して、我々の権利を守るために、長期間の、大規模の、非暴力の抵抗運動を開始するように呼びかけます。」と語った。
多くのモンゴル人ブロガーたちは、この事件についての記事が、彼らの同意もないのに削除されていることに不満を募らせている。「百度貼吧」(