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台湾・モンゴル関係の転機、中華民国蒙蔵委員会の撤廃と歴史四方山話

2013-01-08
KingBricks Now

2012年12月31日に起きた、台湾とモンゴルの関係の転機について。歴史四方山話満載でなかなか面白いネタである。主にRFI中国語を参照した。

 
 
Ulan Bator (Mongolia) / Mario Carvajal  

 

    清朝・理藩院の名残、蒙蔵委員会が消滅


 

現在、中華民国が統治しているのは台湾に限定されるが、建て前としては清朝の後継国家として中国本土の領有権も主張している。その中国本土の中でもチベットや新疆、甘粛省など旧藩部を統括する部局が蒙蔵委員会だ。清朝の理藩院からの組織割りが21世紀の今まで残っていたという次第。

台湾行政院の組織改組に伴い、20121231日を持って消滅。業務及び人員はモンゴル処、チベット処として大陸委員会に所属することになった。

ちなみにモンゴルもチベットも統治していなかったのに70人のスタッフがいたとのこと。業務としては台湾在住のモンゴル人、チベット人絡みのお仕事を担当することになっているが、その合計は2000人足らず。70人も要らないだろ、リストラしろ!と野党から批判されている(民視電視)。公務員のクビキリ、配置転換は難しいのか、新人を採らないという形式で削減するそうだが……。




 

    白紙にしたことを白紙にしてみた


 

ちなみに中華民国のもともとの立場としては、モンゴルは清朝の一部=中華民国の領土というもの。現実とはかけ離れた想定が続いていたわけだが、近年、台湾は現実的な改組、変更を続けている。蒙蔵委員会の撤廃もその一環。また行政院・大陸委員会はいわゆる外モンゴルは中華民国の領土であるとの声明を出している。

ちょっと面白いのは台湾は2012年に「モンゴルの独立は承認していたよ、1946年にな!」との声明を発表したこと。60年以上前の歴史事実を掘り返すロジックがちょっと面白い。実際、1946年に一度、モンゴルの独立を承認しているのだが、その後、旧ソ連が中国共産党を支持したためモンゴル独立の承認も白紙となったという経緯がある。

台湾はこのかつて承認を白紙にした歴史を、もう一度白紙にする、すなわち1946年の承認はイキ、というなんだか難しいやり方で処理しているのだった(Wikipedia)。いまさら独立承認するのもなんだし、過去の歴史解釈で解決しとくか……という大人の知恵だろうか。




 

    台湾・モンゴル関係の今後


 

こうした状況で台湾とモンゴルの関係は急接近。先日は蒙蔵委員会最後の委員長、羅瑩雪氏が初めて公的な身分でモンゴルを訪問した。なにせこれまでは建て前だけとはいえモンゴルを統治する部局のボスだったわけで、公の身分で訪問するわけにはいかなかったとのこと。観光ビザで入国していたのだという。モンゴルとの関係が急接近したので、今後は台湾市民にノービザ待遇が与えられる可能性もあると報じられている。

またこれまでもモンゴルの裁判官、検察官を台湾に招いての研修が行われてきたが、2013年は行政官僚の研修、ウランバートルの渋滞解消をテーマにした警官の研修なども行われるとのこと。かつて社会主義陣営の一員として中国本土と深いつながりがあったモンゴルが、今度は中華民国から行政を学ぶという展開もなかなか面白い。

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