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バローン・ウジェムチン旗で漢人に襲われ意識を失って倒れるモンゴル人牧民 |
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重傷を負ったモンゴル人牧民 |
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事件現場の中国警察と内モンゴル牧民 |
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中国共産党バローン・ウジェムチン・ホショー宣伝部による書き込み |
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2011年、バローン・ウジェムチン・ホショー(西烏珠穆沁旗)でモンゴル人牧民が惨殺されたのをきっかけに、内モンゴル全土で牧民と学生による大規模な抗議行動が起こった。2013年5月17日、同ホショーで中国人開発業者による残忍な襲撃が繰り返された。同ホショー、バヤンホア・ソム、サロール・ボラグ・ガチャーのモンゴル人牧民10数人が放牧地を守ろうとして激しい襲撃を受けた。
南モンゴル人権情報センター(SMHRIC)が地元のモンゴル・コミュニティから入手した情報と写真によると、100人以上の漢人が集まって同ガチャーの牧民を杖や石で襲いかかった。写真は、漢人に襲われて意識を失って倒れている牧民で、救急車や警察車両に収容される前に撮影されたものである。
「この土地はサロール・ボラグ・ガチャーの住民である私たちが所有している」と牧民は訴えている。「漢人は100人以上の人間を集めて私たちを襲い、10人余りの牧民が負傷しました」
「それだけでなく、漢人たちは私たちのオートバイや自動車までも壊したのです」と付け加えた。
中国当局は、2011年のような市民の抗議行動が繰り返されるのを懸念して世論を操作し、牧民らの怒りを静めるキャンペーンを開始した。主なSNSから事件に関する書き込みと画像を即座に削除してネット検閲を強化し、「当局が事件解決のため積極的に動いている」という内容のメッセージを掲載するなどした。
「5月18日、新浪とQQサイト上に一部のネチズンによってアップされた『バローン・ウジェムチン・ホショーの牧民襲撃事件』は、実のところ内部の衝突にすぎません。双方にモンゴル人も漢人も入っていたのです。漢人とモンゴル人は良好な関係でした」。中国共産党バローン・ウジェムチン・ホショー宣伝部が「地元当局が牧民と合意するか、法律に沿って事件が解決されるよう動いています」という簡潔なプレスリリースが、微博、QQ、百度など人気のサイトにアップされた。
「牧民の怒りは収まりました。事件はまもなく解決されるでしょう。法律を執行する行政の力を信頼してください。兄弟間のちょっとした口論と同じようなものです。最後は握手をしてハッピーエンドになることは間違いありません」書き込みは、事件を「兄弟間のちょっとしたいざこざ」と特徴づけて、襲撃のショックを和らげるようとしている。
この間、事件について書き込みをしたか、詳しい情報を求めようとしたネチズンに対して、ネット警察は迅速に対応し、警告したり脅したりしている。
「黙れ、嘘つきめ!
全てがいかに平穏で平和であるかをバローン・ウジェムチン・ホショーに来て見て下さい!
分離主義を実行するつもりですか。立ち上がって、私たちに計画を伝えて下さい」という書き込みが百度上に現われた。牧民と草原の関係に興味をもち、事件に関する書き込みを削除しないよう求めるネチズンを脅かすために「国家分離主義」の罪名を百度に掲載した。
鉱山ほかの開発計画を当局が推進するため、南モンゴルにおける土地買収が強化されている。そのために近年モンゴル人牧民と漢人の鉱山開発業者・農民間の緊張状態が急速に高まっている。漢人の流入によって放牧地が縮小されるにしたがい、牧民による抗議行動は南モンゴルの地方コミュニティで頻繁に起こるようになった。
同じような事件が3週間前にも発生した。南モンゴル東部オンニョード・ホショー(翁牛特旗)のモンゴル人牧民が100人以上の漢人農民によって襲撃されたのである。この衝突は、漢人移民が牧民の放牧地を10年間のリース期間が終わったにもかかわらず返還しなかったことから起こった(詳細は以下のサイト参照。
http://www.smhric.org/news_483.htm)。この事件で、牧民7人が重傷を負い、1人が脳挫傷、2人が腕と脚の骨折を負った。
(敬称略)
(原文)http://www.smhric.org/news_485.htm