南（内）モンゴル東部オンニュード旗シンスム・ソム、バヤンノール・ガチャー出身のトルゴール、トゥクスバヤル、ジャルガルト、ナサンダライ、ムンフバヤル、オラーンバルら勾留中の6人の牧民の家族は、中国当局から「6人の勾留者は2013年11月13日午前9時（北京時間）、オンニュード旗人民裁判所で裁きを受ける」旨知らせる通知書を受け取った。

　6人の牧民は、自らの牧草地を非合法に占拠している国営双和林業の漢人労働者らと衝突後に警察に逮捕された。3週間以上勾留された後、6月24日、彼らは「生産・管理妨害」の罪で正式に逮捕された。その後、9月13日、オンニュード旗警察庁は6人を起訴するため、事件をオンニュード旗人民検察庁に送致した。

　牧民のリーダー、トルゴールの妻サランゴアによると、中国当局は南モンゴルの牧民全てに警告するように、6人に対して7年までの懲役刑という厳しい判決を下すことを決めた。

サランゴアは「6人は裁判で無罪を主張する準備をしています。私たちは北京やほかの地域から外国人ジャーナリストがこの不正な裁判を傍聴・取材してくれることを心から願っています」と南モンゴル人権情報センター（SMHRIC）に電話で訴えた。

　「裁判の取材をしてくれるよう地元メディアと連絡をとりましたが、全てのメディアは当局から牧民の抗議活動と牧草地の占拠について取材しないよう命令されていると言われたのです」とサランゴアは付け加えた。事件に関する詳細情報は、以下のウェブサイトで入手できる。

ttp://www.smhric.org/jap_168.htm

http://www.smhric.org/jap_170.htm

勾留者の家族や弁護士との連絡および情報の入手は、SMHRCに依頼すれば可能である。

　同様の事件として、ジャロード旗アルフンドゥルン、ハルガイト村のツェンゲルト、エルデンダライ、エルヘムバヤルら3人が、中国共産党中央委員会第三回本会議の開催が近づいていた10日前に警察に逮捕された。

　ツェンゲルトの叔父であるガルサンは、3人の牧民がジャロード旗拘置所に勾留されていると電話でSMHRICに語った。

　「警察庁は私たちに逮捕と拘留の法的な説明をしてくれません。警察はすでに私たちに勾留状を郵送したと言っているのです」と、ガルサンは逮捕・勾留の理由が何かを尋ねるとそのように答えた。「でも、私たちはそのような文書は受け取っていないのです」。

　SMHRICがツェンゲルトと以前に連絡した時には、地元政府が牧民の広大な牧草地を不法占拠し、それを牧民の同意なしで鲁霍石炭や宜城石炭など中国の石炭企業に売却してしまったのである。

　ツェンゲルの指導で牧民らが協力し、当局に牧草地の返還を訴える様々な抗議行動を起こした。その結果、牧民は警察によって頻繁に手入れを受けたり勾留されたりするようになった。2012年には、30人以上の牧民が逮捕され勾留された。

　2013年7月、ツェンゲルトとその他数人の牧民の自宅を警察官が取り囲み、自宅軟禁状態に置かれた。牧民が抗議行動を起こしデモなどを行うのを妨害するため、旗警察庁は牧民らのIDカードを没収した。

　2013年8月、地元政府は「アルフンドゥルン地域の生態移民の実施に関するジャロード旗人民政府通達」という文書を発行した。文書によると、9つの牧畜村が牧草地から立ち退くことになっている。

　「約400戸1200人以上の牧民が牧草地をあきらめて、ジャロード旗の中心地ルーベイ（鲁北）郊外に移住するよう命令している」と、ガルサンは強制移住プロジェクトがさらなる牧民の抗議行動を引き起こしているとSMHRICに語った。

　「誰も自宅や牧草地を放棄したくありません。ところが、私たちの家は取り壊され、コミュニティが破壊されているのです」と、ルーベイで何とか仮住まいを手に入れたガルサンが電話口で怒りを露わにした。

Bill of Indictment against six herders of Ongniud Banner   "Zaruud Banner People’s Government Notice on the Implementation of the Resettlement of Ar-hundelen Area Ecological Migrants"